「はやぶさ2」プロジェクトの情熱に触れる
関係者特別インタビュー!!

Vol.5

文部科学省 研究開発局 
宇宙開発利用課 課長
谷 広太 氏 宇宙利用推進室 室長 庄崎 未果 氏

「はやぶさ2」が夢を与え
日本の宇宙開発の未来と宇宙に興味を抱く
次世代の若者とのかけ橋になってほしい

JAXAと二人三脚で宇宙開発を進める文部科学省。国際協調が叫ばれる宇宙開発の現在と、その渦中にある「はやぶさ2」への期待を、国・省としての立場から見るおふたりにお答えいただいた。

―――普段のお仕事の内容を教えてください

谷氏(以下、谷) 司令塔の機能を担っている内閣府宇宙開発戦略推進事務局が、日本の宇宙開発の宇宙基本計画や工程表といった、宇宙開発全体のロードマップをつくっているのですが、私たちは、そのロードマップに沿って基本的な考え方などの歩調を合わせて仕事をしています。
具体的な仕事としては、「はやぶさ2」に代表されるような宇宙科学のプロジェクトから、現在金井宇宙飛行士が軌道上で活躍をしている国際宇宙ステーションのような有人宇宙活動、H-ⅡAやH3、イプシロンといった打ち上げロケットの開発まで、多岐にわたります。また地球観測や技術実証のための衛星の開発にも取り組んでいます。もちろん、直接開発しているのはJAXAですので、JAXAのプロジェクト担当者と一緒に議論しながら、二人三脚でプロジェクトを進めています。
日常的にはこれらのプロジェクトを進めていますが、ときおり非常に大きな山場があり、2018年3月に開催した「国際宇宙探査フォーラム」も、そのひとつです。

庄崎氏(以下、庄崎) もともと私は、国際宇宙ステーションと国際宇宙探査を担当しており、今回はこれに関連する国際会議ということで「国際宇宙探査フォーラム」を担当しました。
日本が主催となったこの会議では、45カ国から300人ほどの参加者が集まりました。具体的には、今まで積極的に宇宙探査を行ってきた主要な国である日本やアメリカ、欧州の国々だけではなく、新しく力をつけてきている中国やインド、その他の国々も参入していることを踏まえ、無人・有人を問わず、宇宙探査を国際協力でどのように進めていくかという体制、基盤となる考え方や意義について議論をし、東京原則や共同声明をまとめていただきました。
会議は、政府関係者の集まりでしたが、民間の宇宙探査への機運が高まりつつある昨今の状況もあり、民間の活動と連携していく姿勢が示されました。
また、サイドイベントとして、産業界向けのイベントも開催し、500名ほどの参加者が集まりました。ここには、宇宙開発に未参入のところや検討中のところを含む、国内外の企業が参加され、今後どのような活動の可能性があるかといった意見交換や、新しい取り組みについての情報交換がなされました。

――サイドイベントには、学生を含む若い方、次世代の方に向けたイベントもあったと伺いましたが?

庄崎 若手向けサイドイベントもあり、ここには国内外の35歳までの学生、研究者、それから企業の若手が80人ぐらい集まりました。参加者にはエクササイズとして、10のグループに分かれ、月・小惑星・火星を舞台とした事業や取り組みのアイデアをテーマとして1日半議論してもらいました。そしてグループ毎にアイデアをまとめて発表してもらいました。
イベントそのものはエクササイズに重きを置いたものでしたが、宇宙で持続的にタンパク質を得るためにキノコや菌類を使うといった、おもしろいアイデアもいくつか出ていたのが印象的でした。

――次世代の研究者の育成について、お考えのこところをお聞かせいただけますか?

 日本の科学技術を支えるのは、当然若い人に頼るところが大きくなります。今は少子高齢化が進み、若年層が増える状況ではありません。そのなかで宇宙開発という難しい仕事をする分野に多くの方に携わっていただくことは、この上なく重要です。宇宙は科学技術のなかでも比較的人気のある分野ではありますが、それでも、まずは宇宙開発に興味をもってもらえることが大事だと考えています。
取り組みとしては、宇宙飛行士とともに講演会やタウンミーティングなど、一般の方を対象にお話をさせていただく機会を積極的につくっています。ぜひ来て欲しいというようなリクエストもたくさんいただいておりますし、喜んでいただけるので、こうした取り組みは今後も大事にしていきたいです。  また普段から、宇宙開発に関して、ロケットならロケット、衛星なら衛星、探査機なら探査機と、各プロジェクトのわかりやすいイベント、山場をしっかりととらえて、情報発信していくという取り組みもしています。

――とくに小惑星探査やサンプルリターンで、知識を広めていくような取り組みはありますか?

 小惑星探査やサンプルリターンといった宇宙科学は、大きなロケットや衛星の開発と違い、“一品もの”の性格が強い分野です。プロジェクトの多くはJAXAが中心になりますが、そこには民間や学生といった、ひとつひとつの部品の開発や設計などに色々な関わり方をしている人がいて、それはそのままストレートに教育に結びついています。つまり、この経験自体が宇宙に関わることであり、絶好の教育の場にもなっているのです。
そういう意味で、宇宙科学のプロジェクトは、研究と教育とが表裏一体になっている分野だと考えています。

――はやぶさ2に関しても色々と情報を発信しているのを拝見していますが、2018年のはやぶさ2ミッションの見どころは、ずばりどこでしょう?

 はやぶさ2は今年2018年に、小惑星リュウグウに到着してサンプル採取をするという、非常に大きな節目を迎えます。
まずは到着して、初めてリュウグウの形がわかる。今まで誰も見たことがない形が明らかになる。ワクワクドキドキするタイミングがやってきます。
それから秋にかけて、ミッションのなかのハイライト中のハイライトであるサンプル採取のためのタッチダウンがあり、次にはサンプルリターンの局面がやってきます。これは、少しでも多くの方に宇宙開発に関心を持っていただける絶好の機会だと思っておりますので、成功させるとともに、私たちとしてもプレイアップしていかなければなりません。
またサンプルリターンは、世界的に見ても最先端で、日本のお家芸とも呼べる技術ですので、今後もしっかりと伸ばしていかなければなりません。はやぶさ2の先には火星の衛星からサンプルリターンする「火星衛星探査計画(MMX)」も計画されていますので、そういう意味でも、しっかりと成果を出していきたいです。
そして、この大きな成功をみんなで共有し、分かちあうということが大事だと思います。世界的に見ても、2018年ははやぶさ2が目玉となることが想定されるので、この成功の話題をみなさまに提供できることをとても期待しています。
今回の『はやぶさ2をつくる』というような企画も、日本の科学・宇宙分野での次世代の人材育成において、大きな効果があるのではないかと楽しみにしています。

――ありがとうございます。では最後に、はやぶさ2を応援している方々へメッセージをいただけますか?

 宇宙開発というものは、若い方からシニアの方まで、幅広く国民のみなさまからの応援がないと成り立たない分野です。はやぶさ2を応援してくださることはたいへんありがたいことですし、宇宙を体感する経験を共有できればうれしく思います。また、宇宙全体、宇宙開発利用全体への応援もぜひお願いできればと思います。

たいせつにしますプライバシー 10190770(05) Copyright K.K.DeAGOSTINI JAPAN ALL rights reserved.