「はやぶさ2」プロジェクトの情熱に触れる
関係者特別インタビュー!!

Vol.1

はやぶさ2プロジェクト
プロジェクトマネージャ
津田 雄一 氏

人類の進歩のカギを握る宇宙の秘密を
「はやぶさ2」が解き明かす!

探査機製作の最前線に立ち、現在は運用チームのリーダーを担う津田氏に、「はやぶさ2」の意義やリュウグウ到着を間近に控えた今のお気持ちを伺った。

――ずばり、2018年の「はやぶさ2」プロジェクトの見どころはどこでしょうか?

6~8月に、いよいよ小惑星「リュウグウ」に到着します。小惑星の位置を探し近づく、ということを地球から約3億km離れた場所で行い、最後に小惑星にピタッと横づけします。そこで初めてリュウグウの「正確な位置」がわかります。
また、リュウグウの大きさや形、表面の様子、自転のことも、このときわかってくる。これまで誰も見たことのない世界なので、到着することそのものが注目ポイントです。
リュウグウは天体の位置関係で観測ができないので、到着するまで形がわかっていません。科学者たちも予想していますが、たぶん大はずしするでしょう。個人的には実物を見てびっくりするのも楽しみですね(笑)。
到着して以後も、たくさんの観測、搭載しているローバーの降下、「はやぶさ2」自身の着陸……と、2018年中はやることが目白押しですので、ひとつひとつのチャレンジに注目していただきたいです。
「はやぶさ2」の着陸は、「はやぶさ2」自身によるリュウグウとの位置関係の計測、そのデータの地上での解析を経て、ようやく着陸の指示を送れます。
しかしその際、どこに着陸するかを決めるために、どこに何があるかを知らなければなりません。リュウグウの周囲を飛ばせて地図を作ったり、重力などの色々な特性を測らせたりと、データをたくさん集め、初めて着陸できるかどうかの判断ができます。
エンジニアという私の立場上は、なるべく成功確率が高い平坦な場所に降ろしたいですが、科学者の立場では必ずしもそうではない。安全かつ面白いところを選ばなければならないので、きっと着陸ポイントの選定はすごい論争になると思います。
それも円滑に行えるように、何度もチームでシミュレーション訓練をしていますが、実物を見たら言いたいことは出てくるでしょう(笑)。ですので、着陸地点の決め方や、どうしてそこに降りるのかという点も含めて見ていただけると面白いのではないでしょうか。

――2年前、「はやぶさ2」プロジェクトのPM(※1)に就任したとき、どんなお気持ちでしたか?

PMの前はPエンジニア(※2)でした。当時のPMは國中先生でしたので、國中先生にも相談しました。
國中先生には「モノを作るのは君がまとめたんだし、探査機のことは君が一番わかっているはずだ。君が一番いいんじゃないの?」というお言葉をいただきました。
プロジェクト全体をまとめるのは初めてでしたので不安はありましたし、正直そこで「ああ、そうですね」とは思えませんでしたが、そう思っていただいているならやってやろうと奮い立ち、引き受けたんです。

――当時は非常に若いPMだとも言われていましたが?

批判的な声はあったでしょうね(笑)。
でもこのミッションは随所にチャレンジが必要で、設計どおり、計画どおりに飛ばすだけで済まない場面がたくさんあり、トラブルがあっても止まることなく挑戦し続けなければなりません。そして、どうせなら面白くやりたい。思いがけない発見にも積極的にアプローチしていかなければならない。ですから「若いのだからどんどんやりなさい」という意味合いで受け取っています。
一方で、「はやぶさ」のときのようにトラブルでドラマを作ることはしたくないですね。新しいことをやり、新しい発見をするという、そういうドラマを作りたいです。
「はやぶさ2」はたかだか2号機で、2回目。経験は浅いので、「はやぶさ」と同じようなミスは避けるよう慎重にやりながらも、縮こまらないようにして新しいチャレンジをしていきたいと思っています。

――最近、小惑星が注目されていますが?

これまで、小惑星からのサンプルリターンに成功したのは「はやぶさ」だけ。2番目が「はやぶさ2」、3番目は「OSIRIS-REx」(※3)になります。このチャレンジの潮流は、小惑星サンプルリターンが現実的にできると示した「はやぶさ」の成果があったからこそです。
小惑星は、いろいろな注目のされ方をしていますが、太陽系の歴史を探るなど科学的な関心のほか、「資源」としても注目されています。どのような資源があるかは未知ですが、NASAでは、小惑星の資源を地球へ運ぶための技術開発も進められ、世界では技術より先に資源の採掘権確保のための動きもあります。
もうひとつは「惑星防衛」として。地球衝突の可能性がある小惑星はじつはたくさんあり、確率は非常に小さいですが、一度起これば甚大な被害になるかもしれない。しかし人類には、まだ対処方法がありません。そうした社会的要請からも注目されています。

――では、宇宙の魅力とはなんでしょう?

宇宙は人類最後のフロンティアで、挑戦の場所だと思います。人類の叡智を広げ、それによって人類はいろいろな科学技術を手に入れられるのだと思います。これまでも人類は、必ずしも目的が最初にあったわけではなく、好奇心から科学や技術を発展させてきました。
「はやぶさ2」は、国の枠を超えた多くの方々の協力の上に成り立っています。宇宙を舞台にした技術開発や、宇宙の謎を解いていくことに関しては、世界中の叡智を結集して全力で立ち向かわなければなりません。その最初のステップとして「はやぶさ2」が貢献できればと考えています。


※写真の模型は1/20スケール(開発中模型とはスケールが異なります。)

――「はやぶさ2」を応援している人たちにメッセージをいただけますか。

リュウグウに到着し、その姿が明らかになるとき、皆さんに驚きを提供できると思うので、ぜひ注目していただきたいです。その先も私たちは全力を尽くしますが、すべてが思いどおりにいくわけではなく、厳しい状況も少なからずあると思います。そのような挑戦の部分を含めて、温かく見守ってください。2020年の帰還まで、楽しみつつ応援していただければと思います。

用語解説
※ 1
PM:プロジェクトマネジャー。プロジェクト全体のとりまとめ役。
※ 2
P エンジニア:プロジェクトエンジニア。設計したり製造したりといっ たモノづくりの責任者で、いわば技術の取りまとめ役。
※ 3
OSIRIS-REx:アメリカの小惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・ レックス)」のこと。2016年9 月に打ち上げられた。「はやぶさ2」がリュウグウに到着した数か月後に小惑星ベンヌに到着してサンプ ルリターンを行う予定。
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