製作者の廣田氏からまだ開発段階の3式機龍メカゴジラを見せられた時、私は、その完成度の高さに思わず息をのんだ。「とにかくメカゴジラのメカニックとしてのカッコ良さを追求しています! そのためスパイラル・クロウや牙、ツメ、筋肉繊維などのパーツ一つひとつまで資料と照合して、監修作業も徹底的に行いました。」
さらに圧巻なのは、パーツ以外にも、ボディの装甲と装甲の間に陰影をつけるなど、作品内の機龍の姿を極限まで再現していることだ。単体でも十分に魅力的だが、私はここで更なるお願いをした。
今回のメカゴジラはバックユニットを装備した「特別仕様(※)」。いわゆる「重武装型」の3式機龍といわれるモデルで、多連装ロケット弾の発射口や背面の大出力ブースターまで、精巧に再現されたその造型はまさに圧巻。「監修作業含め、原型を完成させるまでに、1年近くを費やしました。今回の〈改〉では、バックユニットの形状も変わっているので、新たに資料とにらめっこする必要がありました。」
メカゴジラ史上最強の武装をした、「特別仕様」の3式機龍をぜひ手にとってその精巧さを味わってほしい。
メカニコングが登場する「キングコングの逆襲」は新しい合成技術に挑戦した画期的な作品でした。また、私が撮影部門から合成部門に異動して初めて参加した作品ということもあり、思い入れのある作品なんです。その作品の中でもメカニコングはものすごくインパクトもあり、私のお気に入りです。かわいくて仕方ないです(笑)。
当時のそのままの姿が再現されていて、完成度が素晴らしいですね。300×250mmの迫力あるスケール感はもちろん、メタリックな質感も忠実に表現することが出来ました。ずっしりくる重量感も素晴らしく、ぜひその重みを感じてほしいと思います。
細かい部分までつきつめてこだわりを再現してくれています。
例えば関節部分の布の質感、金属を使用したリベット、掘削用ナパームや頭部の催眠光線投射機といった私が細部までこだわりたかった部分を全て精密に再現してくれましたね。
この完成度はインテリアとしてもおすすめ出来るくらいです。値は張りますが、それだけ価値のあるものです。その証として直筆のサインを一枚一枚入れさせて頂きました。メカニコングのファンの方には、ぜひ手に取ってじっくりと眺めてほしいですね。
全ての製作過程に目が届くよう、国内生産はもちろん、できるだけ自社工場内での製作にこだわることにしています。弊社の強みであるウェザリング塗装は、職人が一体一体手作業で製作しています。ですので、完成まで数ヶ月の時間がかかってしまいますが、とにかく時間と手間は惜しみません。だから細部までチェックすることができて、完成度もとことん突き詰めることが出来るんです。過去には、最終チェックの段階になってもどうしても納得することが出来ず、初めから作り直した経験もあります。そうしたこだわりが、お客さんの求めるレベルを高め、我々のスキルを高めていったんでしょうね。
円谷プロ様には造型の監修をお願いしています。弊社では、極限まで造型にこだわって表現していますから、監修が長時間に及ぶことは珍しくありません。私たちのこだわりが強い分、円谷プロ様のチェックも高いレベルで行われ、それだけ時間もかかります。そして、いつの間にか我々の造型物が「立体資料」と呼ばれるようになっていました。「スーツアクターの体型を再現したフォルム」や「彩色技術による汚し塗装」などをも再現し、立体化した資料と言われることが我々の誇りなんです。