- 自分で組立てる腕時計、クリエイト24社製の「組匠 kumitaku」。
高精度ムーブメントを自分の手で組立てられる魅力と、赤松社長の熱いトークに、普段は腕時計をつけない私もすっかり魅了されてしまい1セット購入。
早速、仕事の空き時間でひそかに楽しみたいと思います。
自分で組立てる腕時計、クリエイト24社製の「組匠 kumitaku」。高精度ムーブメントを自分の手で組立てられる魅力と、赤松社長の熱いトークに、普段は腕時計をつけない私もすっかり魅了されてしまい1セット購入。早速、仕事の空き時間でひそかに楽しみたいと思います。
- ケースを開けると、2段になったキット一式が出現。上段にはパーツ、下段にはツール類が整然と並んでいる。取材時にも見せていただいたが、これこそまさに“時計職人”。気分は最高潮だ。
パーツは細かく分類されたケースに入っている。歯車はともかく、ネジ類はとんでもなく小さい。それがかえって「絶対に最後まで完成させるぞ!」という意欲を煽るのだが、価格も価格なので「なくしたり破損したらどうしよう……」と、ちょっと不安も湧いてくる。
不安を払拭するためにマニュアルを開いてみる。フルカラーの写真が豊富で非常にわかりやすい。パーツには使う順番に番号が振ってあるので、マニュアルと照らし合わせれば迷う心配もなさそうだ。結論。とりあえず私でもなんとかなるだろう。 【ルーペをつける】
- ツールの中でひときわ目立つのがこのルーペ。実は取材中からずっと気になっていた(笑)。これで細かい作業が続いても手元がよく見える。というより、時計職人になりきるにはうってつけのツールだと思う。
【指サックをつける】
- ところで、繊細なパーツに汚れや皮脂がつかないように、作業中は指サックを装着する必要がある。これもまた、気持ちを盛り上げるのに欠かせない。こうした小道具まで一式セットになっているのは、つくづく嬉しい心遣いだ。
【充実の工具】
- 肝心の工具類も充実している。ドライバーは3本を使い分けるらしい。ピンセットはスイス製だという。スイスといえば、OMEGAをはじめとした高級腕時計のふるさとだ。「組匠」は高価だと感じてはいたが、このようなツール類にも妥協しない心意気の表れなのだろう。
【油をつける】
- パーツを組む際には注油が必要となる。「組匠」は正しく組立てれば、電池も電波も必要としない機械時計だ。何にも頼ることなく、自らの力で正しく時を刻み続ける。それは、まさしく“生き物”ではないか? 大げさに言えば、“時計という命”をこの手で生み出すということだ。
指サックとルーペが手術中の医者を思わせたのか、油が血液のようにも見えてくる。パーツは臓器、ネジは細胞だ。なんだか自分が大いなる使命を帯びているような気がして、年甲斐もなくワクワクが止まらない。
- なんと早々に歯車パーツの登場! 実は、私は歯車を見ると血が騒ぐたちで、この「組匠」に惹かれたのも“自分で歯車を組立てられる”というところが大きい。
はじめから興奮気味のスタートである。 スイス製のピンセットだが、小指の爪より小さな歯車もしっかりつまめる。これはいい! さすが本場のツールだと、しばし感慨にふけってしまった。 - ルーペをつけても、ここまで顔を近づけてしまうくらい細かい作業となる。しかし老眼の(認めたくないが)自分でも、充分作業は可能だ。
目の前には見たことのないミクロな世界が広がっている。これは男なら誰でも引き込まれることだろう。思わず前のめりになってしまう部分もあるとご理解いただきたい。 - ドライバーで丁寧にネジを締めてゆく。このドライバーは軸の部分が回転するようにできているが、精密作業向けの仕様なのだろう。確かに使いやすく、腕時計を完成させた後でも活躍できそうだ。眼鏡のネジを締めるのにも役立つかもしれない。
ところで指サックだが……、段々きつくなってきた。見ていただければおわかりだろうが、ゆとりが一切なく、水を通さないので皮膚呼吸ができない。だがそれがまた、本格感を演出するのに一役買っているのかもしれない……などと良い方に解釈しながら我慢我慢。 - 数種類の歯車を順に噛み合わせていく。歯車には表と裏があり、肉眼ではこれが非常にわかりづらい。ルーペ越しにピンセットでつまみ上げた歯車を観察し、間違いのないようにセットしていく。 今まで経験したことのない、細かい作業の連続。集中力と根気が必要だ。だが疲れは感じない。むしろ何も他のことが考えられない、というほうが正しい。ここまでひとつの作業に没頭したのは久し振りだ。
- ようやく片面が完成!
ホッとした、まずは第一到達点といったところか。当たり前の話だが、自分で組立てると構造がよくわかる。これが動き出す瞬間が今から待ち遠しい。
このまま夜通し作ってしまいたいところだが、そろそろ腹も減ってきた。明日の仕事にも差し支えるので、今日はここまでで切り上げる。指サックを外すと、解放感とともに白くふやけた指先が顔を出した。
しっかりホコリ防止カバーをかけ、部下の目に付かない奥の棚にしまっておく。 さあ、明日が楽しみだ。