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宇宙世紀
M S ベーシック・キーワード

宇宙世紀に登場し、それまでの戦争の形を一変させた人型兵器
―― MSをひとことで語るのは難しい。
ここではMSを基本的な7つのキーワードで分類。それぞれのキーワードで機体の特徴を検証している。

MOBILE SUIT
モビルスーツとは?

宇宙世紀(U.C.)0071、地球連邦との軍事的緊張が高まる中、ジオン公国は新兵器の開発に着手する。その萌芽はU.C.0069におけるミノフスキー粒子の特殊効果の実証にあった。マイクロ波から超長波にいたる電磁波の大半を減衰させるミノフスキー粒子の散布環境下では、レーダーや無線通信の無効化が確認されたのである。これを受けたジオン公国は有視界戦闘に特化した新型兵器の開発をスタート。U.C.0073、ついにその1号機がロールアウトする。その後もジオン公国は開発を続け、ついに実戦投入可能な機体を生み出したのだった。そしてU.C.0079、一年戦争が勃発。その緒戦においてジオン公国軍が投入したモビルスーツ(MS)は数に勝る地球連邦軍を一蹴、続く地球降下作戦でもその威力を見せつけた。
MSがこれほどの戦闘力を発揮した背景には、「ミノフスキー粒子散布環境下に対応」した性能に加え、人型ゆえの汎用性の高さがあった。5本指を備えたマニピュレーターは兵装の使用をはじめ各種作業に、脚部は重力下の歩行にも対応した。また無重力下では四肢を用いたAMBACによる高度な姿勢制御能力を確保。射撃兵器から格闘兵器までバリエーション豊かな兵装に加え、主力戦車の主砲をも防ぐ装甲など、MSは既存の兵器を遥かに凌駕する性能を有していたのである。
ジオン公国軍が生み出したMSは、地球連邦軍による独自のMSの開発を促した。そればかりか、以降の戦乱においても、それにかかわった組織が独自の機体を開発するなど、宇宙世紀の主力兵器として発展を続けている。

宇宙世紀史上
初めて実用化された
軍事用モビルスーツ

MS-05B ZAKU Ⅰ〈ザクⅠ〉
頭頂高 17.5m
本体重量 50.3t
全備重量 65.0t
装甲材質 超硬スチール合金
ジェネレーター出力 899kW
スラスター推力 40,700kg
センサー有効半径 2,900m
武装 ザク・マシンガン
ザク・バズーカ
ヒート・ホーク
ガス弾発射器
  • 機体サイズ、重量
    全高、重量の違いは
    基本性能の差に影響する

    全高と重量は運動性と機動性を左右するパラメータとなる。ジオン公国による史上初の実戦配備型MS(MS-05BザクI)は全高17.5m、重量50.3tだったが、高性能化が進むにしたがって大型化。グリプス戦役期には20mを超える機体が出現した。一方、材質の変化によって重量は軽減。20m越えの機体でも平均重量は30t前後となり、運動性と機動性の向上に貢献した。さらにU.C.0100以降になると小型MSの開発が主流となり、15m級で 10t以下という機体が誕生。運動性と機動性の更なる飛躍につながることとなった。

    ガンダムF91(左)の全高は15.2m。一方のνガンダム(右)は22.0mだが、ジェネレーター出力はF91の方が高い。

  • 開発世代
    世代を重ねることで
    新たな機能が付与される

    開発時期と技術水準によって第1期4世代と第2期に分類される。とくに技術水準は機体性能を大きく左右し、結果的に世代を経ることで機体の大型化・高性能化が躍進した。だが巨大すぎるMSは整備性に劣り、第四世代以降の第2期MSは小型化を主眼に開発された。

    第一世代の代表となるザクIIは、自重を装甲が支えるモノコック構造が特徴。

    高出力メガ粒子砲と(準)サイコミュを持つZZガンダムは第四世代に属する。

  • 所属勢力
    所属勢力によって
    デザインが様変わりする

    ジオン公国で誕生したMS開発技術は一年戦争終結後、さまざまな組織に流出。なかでも旧ジオン系技術者を多数集めたアナハイム・エレクトロニクス(AE)社は、多種多様な機体を開発。一方、アクシズやザンスカール帝国などでは独自MSの開発と配備に成功している。

    コスモ・バビロニアで開発された機体はゴーグル型のカメラ・アイが特徴。

    ザンスカール帝国のMSは曲線が主体で、「猫目」と呼ばれるカメラを搭載。

  • 変形・合体
    戦況への適応性を高めたが
    生産コストの高騰を招いた

    U.C.0087頃から登場した第三世代MSは可変機構(分離・合体機構も含める)を有する。人型とは異なる形態(MA形態)に変形することで、機動性や運用柔軟性が向上した。その反面、変形機構は機体構造の複雑化を招き、整備性も低下したため、量産に成功した機体は多くない。

    Zガンダムはウェイブライダーに変形することで単独での大気圏突入が可能に。

    Vガンダムは複数の変形パターンを持つことから「マルチプルMS」と呼ばれた。

  • 武装(携行、内装、格闘)
    MSの戦闘能力を左右する武器も
    基本能力や用途が大きく異なる

    武器にはマニピュレーターで保持する携行型と機体に組み込まれた内装型がある。また射撃戦に特化したものや格闘戦で用いるもの、敵からの攻撃から身を守るものなど、多種多様なタイプが開発された。

    携行型かつ射撃武器の代表はビーム・ライフル(左)で、格闘戦にはビーム・サーベル(中)やヒートホークが主流となる。またザンスカール帝国が開発したビーム・ローターは盾としての機能のほか、飛行手段としても使われる。

  • 開発者と技術
    特異な才能を持つ者が
    MSの誕生と発展に寄与した

    MS開発に携わった人物は多数存在するが、なかでもMSの動力となる新型反応炉の開発に貢献したミノフスキー博士(電磁波を阻害するミノフスキー粒子の発見者でもある)は有名。彼をはじめとする天才たちがMSの誕生に関係している。

    連邦軍技術士官テム・レイ(右)はガンダムを含むRXシリーズの設計を担当。一方、公国軍科学者フラナガン(左)はサイコミュの開発と武器転用を行った人物。

  • 用途
    機体の形状や機能は
    用途によっても変化する

    MSは兵器なのだが、運用される戦場や戦術・戦略によって機能だけでなく、形状が大きく変化する。もっとも端的な例がMA(モビルアーマー)だ。特定能力や戦況で最大効率を達成するように設計された機体は汎用性の高い人型を脱し、異形の姿を採ったものが多い。

    水中での運用を前提とする水陸両用MSは水の抵抗や水圧を考慮して、凹凸の少ない形状を採用。

    拠点攻撃を主目的に開発されたビグ・ザムはボディと脚部のみの特異な姿だ。

宇宙世紀以外のMSも
同じキーワードで評価可能!!

宇宙世紀以外のガンダム作品では、宇宙世紀とは異なる歴史が流れ、設定や機体開発に関する技術も大きく異なる。「機体サイズ」や「重量」、「所属勢力」や「武装」といったベーシック・キーワードは宇宙世紀と共通しているので、このページで挙げたような検証は可能だ。作品ごとに多様なMSが現れるとはいえ、共通のキーワードがあれば、機体の特徴を理解しやすくなる。そうすればMSの魅力を再認識できるようになるはずだ。

『機動戦士ガンダム00』シリーズに登場するMS、ダブルオーライザー。粒子量を二乗化するツインドライヴを塔載し、人類を革新に導くための存在となった。