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映像のプロが語る「特捜最前線」の魅力とは【特別インタビュー】
2024/12/13
映像のプロが語る「特捜最前線」の魅力とは【特別インタビュー1】

まもなく全国創刊を迎える隔週刊『特捜最前線DVDコレクション』。今回はリアルタイム放送の頃から大の”特捜ファン”であり、長年デアゴスティーニのTVCM制作に監督として参画されている中島真也さんにお話をお伺いしました。

目次1.悲願20年!最高のクオリティで全話を初DVD収録
2.時代を越え本質を突く特捜の世界とは?
3.昭和の刑事ドラマのなかで光る「特捜」ならではの魅力
4.新発見の連続!HDリマスター映像の緻密さとリアル感
5.往年の謎解きから基本情報まで!マガジンは特捜ファンのトリセツ!

1.悲願20年!最高のクオリティで全話を初DVD収録

いよいよ来年1月4日の創刊日から中島監督に制作いただいたTVCMもオンエアとなります。今回の「特捜最前線DVDコレクション」では、これまでDVD未収録だった放送回をすべてフィルムからHDリマスター化しました。このデジタル化技術には多大な時間とコストがかかります。けれども、初の「第1話から初の全話DVD収録」となる特捜最前線なので、令和レベルの画質と音質で全話HDリマスター化すべきではないかと企画したシリーズでした。まずはひとりのファンとして監督がご覧になった印象をお聞かせください。

中島真也監督(以下、中島氏):TVCM制作のお話を初めてお聞きした時は、「やっとか!!」と思い本当に嬉しかったです。特捜がTV放送されていた頃、私は10代でしたが、その頃からストーリーの緻密な展開が本当に面白く、夜はリアルタイム放送で、夕方は再放送で視聴していた大好きなドラマです。
振り返れば、私は20年近く前から「特捜のDVDコレクションを出してほしい」とデアゴスティーニさんにリクエストしていたのです。「特捜」は私がデアゴスティーニさんに関わり始めた頃からの悲願だったので、このシリーズがついに発売されることになって本当に嬉しいです。しかも、HDリマスターというのがまた最高ですよね。当時よりも鮮明な映像で作品を第1話から放送順に観られるなんて、夢のようです。

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2.時代を越え本質を突く特捜の世界とは?

約20年たってようやく監督のリクエストに応えることができました(笑)。監督にとって「特捜最前線」の作品愛はどう育まれたのでしょうか?

45分に凝縮された“映画クオリティ”中島氏:特捜の魅力は、何といっても「素晴らしい脚本からなるストーリーの面白さ」です。ポイントを挙げればキリがないのですが(笑)各話の最初に魅力的な導入があって、ぐっとストーリーに引き込まれます。そこからシリアスな事件とヒューマンドラマに繋がっていくのですが、「国家を揺るがす犯罪」から、いたずら電話のような「身近な犯罪」まで幅広いんですね。おやじさん(大滝秀治さん演じる船村刑事)の名言『事件にねぇ、重大でない事件などありえないんだよ!』<第94話>の通り、大小さまざまな事件が緻密なストーリーで45分弱に凝縮されているんです。10代の当時からすべての回が映画レベルのクオリティだと夢中になりましたね。
実際にハリウッド映画や昨今の日本のドラマを観ていると、「あれ?これ特捜で同じようなストーリーあったよな?」と思うことも多々あります。やはり時代を越えて本質を突く脚本、ストーリー展開だったということですよね。
あくまで私個人の感想ですが、シリーズ初期は人間の愛憎や葛藤が描かれ、転機になった第53話で頭脳派の橘刑事が特捜メンバーに参加してからは、さらに功名な仕掛けになり、ストーリーに推理要素が加わって事件に厚みと説得力が増したと思います。
エピソードをまたぐ謎解き!意外性のある伏線回収 全話を通した伏線もファンにとっては楽しみのひとつです。これから観る方のためにネタバレにならないように詳細は伏せますが、例えばおやじさんの「シチュー」や津上刑事の「ドラム」にしても、「こんな前から登場してるんだ!」とか、オープニングのナレーターのお二人が出演している回もあり、「うわっ!この声は!」と意外な発見があったり、ストーリーの中に様々な仕掛けや遊び心もたくさんあって、こういった伏線回収もファンの楽しみのひとつなんです。
映像のプロが語る「特捜最前線」の魅力とは【特別インタビュー】1

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3.昭和の刑事ドラマのなかで光る「特捜」ならではの魅力

数ある昭和の刑事ドラマで「特捜最前線」が10年も続く人気作品となった理由はなんでしょう?

そこまでやるの⁉あらためて気づく映像のプロならではのポイント 中島氏:昭和には様々な刑事ドラマがありました。例えば、若手刑事の成長を描くキャラクターメインの青春ドラマだったり、カースタントや爆発など派手なアクションが見どころのドラマだったり、重厚なテーマで国際情勢に重きを置いたり……。数ある刑事ドラマの中で特捜の主役は間違いなく「事件」でした。派手な衣装も、アクションシーンや発砲シーンも滅多に出てきません。緊急時を除いて「走らない、殴らない、撃たない」が基本ルール、拳銃で事件を解決させない大人のヒューマン刑事ドラマです。
私は映像の仕事をしているのでドラマの撮影や編集についても想像を膨らませるのですが、他の刑事ドラマと比べて約45分のドラマとは思えないほどのカット数で構成されていて、情報量が多いんです。それぞれのカットの撮影にも手が込んでいて、例えば特捜ではヘリが度々登場しますが、飛んでいるヘリを空撮するということは、ヘリ2機で撮影しているはずなんです。それは想像よりもかなり大変です。撮影は天候にも左右されるうえに、2機以上のヘリを飛ばすとなれば予備日も必要でしょう。そこに俳優さんたちのスケジュールが重なってくるわけです。それはそれは大変な撮影現場だっただろうと想像します。
こうした苦労を重ねて撮影した丁寧なカットの積み重ねがストーリーに説得力を持たせるのだと思っています。事件解決のパターンもひとつではありません。こういったすべての要素が「特捜最前線」が10年も続いた唯一無二の刑事ドラマである所以ですね。

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4.新発見の連続!HDリマスター映像の緻密さとリアル感

監督には一足先にHDリマスター映像をご覧いただきました。あらためて印象はいかがでしたか?

ファンの夢が叶った!史上初「第1話から放送順に全話」発売中島氏:実は、昔からの作品の大ファンの私も1話から 放送順に観るのはこれが初めてなんです。というのも、当時の夜のリアルタイム放送は子供だったので観られず、関東の夕方の再放送では第94話あたりからスタートすることが多かったんですね。加えて、今まで発売されたDVDは全話ではなく、セレクトされた一部の回だけ収録されている。第1話から続けて放送順に全話観られるというのは、まさに特捜ファンが長い間待ち望んでいたパーフェクトシリーズだ!と思いました。看板の文字まで読める!年を重ねてわかる当時を超えるおもしろさ! HDリマスターで映像がより鮮明になったことで今まで読めなかった看板の文字が読めるようになっているんです。10代だった当時の映画館の看板、電車の車内広告の文字から、新宿のワシントン靴店やさくらやなどの外観や街並みまで鮮明な映像で観られるのもいいですし、当時聴いていた「いい日旅立ち」や「恋人よ」、よく使っていた当時の小田急線が絶妙な懐かしさを醸し出し一瞬にしてあの頃の感覚が戻ってきます。
私にとって人生の教科書とも言える「特捜最前線」。番組終了から約38年経ち、当時10代だった私はその後社会に出て様々な知識や経験を経て、今改めて観る特捜はHDリマスターによる「当時を超える鮮明な映像」だけでなく「当時を超える面白さ」を体感することができました。

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5.往年の謎解きから基本情報まで!マガジンは特捜ファンのトリセツ!

「特捜最前線」は静止画の素材がほとんど残っていないので、マガジン編集のためにHDリマスター化した4K映像を誌面用の画像として集めました。記事に沿った写真を使用したり、創刊号には特捜の脚本をメインでご担当されていた脚本家・長坂秀佳先生から寄稿文をいただいたり、ファンの方にも楽しんでいただける内容になったと自負していますが、いかがでしたか?

今解き明かされる長年のファンの疑問、その謎解きはマガジンに!中島氏:創刊号の脚本家・長坂先生の特別寄稿は最高でした。10年間の放送期間でメインライターを務められておられましたが、少しの期間、長坂先生の脚本エピソードがなかったんです。ファンとしては「なぜだろう?」と長年疑問に思っていたのですが、創刊号を拝読して謎が解けました。
DVD収録回を深堀りするエピソードガイドもいいですね。マガジンでもドラマの伏線に触れたりしてニンマリしてしまう部分もありますし、今までの答え合わせもできて、映像を観てマガジンを読むことで放送当時を超える「特捜」の良さを感じることができると思います。「特捜最前線DVDコレクション」は作品のファンの方だけでなく、ドラマを観たことがない方でも楽しめると思いますので、ぜひいろいろな方に楽しんでいただきたいですね。
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プロフィール:中島真也

1991年東映シーエム(株)入社。テレビCMを中心にプランナー、ディレクターとして経験を積み2019年よりフリーランスとして活動。デアゴスティーニのCM制作には約20年携わっている。テレビCMの他、web動画、ゲーム内映像、テレビドラマ「京都迷宮案内」「科捜研の女」のオープニングなど企画から演出まで幅広く手掛ける。

中島真也