

パーティーのプリンセス、フェリシティの頭の中はいつも大いそがし。どうしたらみんながよろこぶパーティーができるか、毎日考えているからです。でも今日はいいアイデアがうかびません。
「そうだ、エリーに聞いてみよう。きっと何かヒントをくれるはず」
フェリシティは、ゆめ見るプリンセス、エリーのところにやってきました。ふたりでいっしょに考えることにしたのですが、しばらくすると、エリーはねむってしまいました。
「おきてよ、エリー。まだ何もアイデアが出ていないじゃない」
とフェリシティが言うと、エリーはねむい目をこすりながらこう答えます。
「わたし、バラの花でいっぱいの、お庭のゆめを見てたわ」。
それを聞いたフェリシティは、何か思いついたようです。
「それよ! お花いっぱいのパーティー!」
パーティーの日がやってきました。バラの花がたくさんかざりつけられて、はなやかです。じつはフェリシティにはもうひとつ、すてきなアイデアがありました。プリンセスのみんなに、それぞれちがう色のバラをプレゼントするのです。
サマーにはうすむらさき色、デビーにはこいむらさき色、
ファニーにはオレンジ、ティーにはピンク、
ハニーには水色、ビアンカには白、
サブリナには赤、アイラにはみどり、
マリッサには黄色、シビルには青、
そして自分にはフクシアの花と同じ赤むらさきのバラ。
あら? もうひとりわすれてない? そう、親友のエリー。もちろんフェリシティはエリーのことをわすれてません。
とっておきの色――
きれいな虹色のバラをエリーにわたしました。エリーもみんなもとってもハッピー。最高のパーティーになりました。
今日はとってもいいお天気。マリッサはお庭を散歩しています。お日さまの下で、小鳥たちも楽しそうに歌っています。すると、葉っぱのかげに何かキラリと光るものを見つけました。
近づいてみると、それは虹色にかがやくほう石箱でした。
「だれかのわすれものかしら?」
マリッサがあけてみると、中にはハート形の水しょうが入っています。
「なんてきれい。フェリシティに見せてあげようっと」
「フェリシティ、ほら見て! お庭でこんなものを見つけたの」
マリッサが持って来たほう石箱を見てフェリシティがこう言いました。
「このハートの水しょうで、明日のパーティーにつけていくブレスレットを作ったらどう?」
そのてい案を聞いて、マリッサはなにかを思いついたようです。
パーティーの夜。プリンセスたちは、ハートのかざりがついたブレスレットをマリッサからもらいました。
「なんてすてきなプレゼント!でも、マリッサのブレスレットはないの?」
フェリシティが聞くと、マリッサは
「ハートの水しょうはそれで全部なの」
と、にこやかに答えます。プリンセスたちは大かんげき!
「あなたの思いやりの心は、どんなにきれいなほう石にもまけないわ!」
みんなはマリッサをやさしくハグするのでした。閉じる
エリーは、歌のプリンセスのサマーと、お庭でおやつを食べながらおしゃべりしています。ふいに、あじさいのお花のあたりからきれいなメロディーが聞こえてきました。エリーとサマーが、音がするほうへと近寄っていくと・・・。
「あそこよ!」
とエリーが言うと、こんどはサマーが
「ちがうわ、こっちよ!」。
気になる音はここかと思ったら、すぐにまた別のほうから聞こえてくるのです。すると、お花のかげから小鳥がとび出してきました。メロディーは小鳥の歌だったのです。
「わすれないうちにメモしておかなくちゃ」
と、サマーは紙に何かを書き始めました。エリーがふしぎそうにのぞきこんでいるあいだにできあがったのは、こもり歌でした。
「この歌はだれのために作ったの?」
エリーがたずねると、サマーが答えます。
「もちろん、あなたよ!」
これはエリーへの最高のプレゼントです。だって
「この歌で、ぐっすりねむれる!」のですから。
サマーは、コンサートでうたう歌の練習中です。みんな、コンサートをとても楽しみにしているのです。でも、ステージが少しさびしいような気がします。
「何か特別なことを考えなきゃ!」
こんな時はデコレーションのプリンセス、デビーの出番です。ちょっと考えると、さっそくアイデアがうかんだようです。
「楽しみにしていて、サマー。みんなをびっくりさせるわよ!」
デビーは目をかがやかせて言いました。
コンサートの日がやって来ました。会場はお客さんでいっぱいです。ライトが消えると、音楽が始まりました。そしてサマーの歌声が聞こえます。すぐにスポットライトがついてステージを照らしますが、そこにはだれもいません。サマーはどこ?みんな、ふしぎそうにしています。
すると、ステージの上の方から、色とりどりのお花でかざったブランコに乗って、サマーがおりて来ました。
なんてきれい!
大きなはく手がわきおこりました。ステージのうらでみまもっていたデビーもうれしそう。コンサートは大成功でした!
閉じる明日はデビーのおたんじょう日 。プリンセスたちをよんでパーティーをひらきます。
デビーはいまからワクワクしています。パーティーのおかしのじゅんびは親友のファニーにたのみました。
「あなたのおかしがあればパーティーはかんぺきよ!」
おかしのプリンセス、ファニーは、デビーにお手つだいをたのまれてうれしくなりました。
パーティーの日がやってきました。ファニーは約束の時間をすぎても、まだあらわれません。ほかのプリンセスたちがそろそろ集まってくるころです。
「どうしたのかしら?」
デビーはちょっと心配になってきました。パーティーのかざりつけはとってもすてきにできたのに、おかしがなければちっとも楽しくありません。
しばらくして、やっとファニーが来ました。
「ごめんなさい、デビー。こんなにおそくなっちゃって・・・」。
あやまるファニーにデビーは、
「だいじょうぶ。あなたがここに来てくれただけでいいの!」
と言いました。
そのとき、ファニーがもってきたおかしが少しへんな形をしていることに気がつきました。ファニーはもうしわけなさそうにもじもじしています。
デビーは、なるほどね、とわかりました。
「おかしがおいしいかどうか、ちょっとあじ見をしたのね!」
ほほえみながらデビーは、お花のキャンディーでおかしをかざりつけました。
「こうすれば、おかしはもっとおいしくなるし、おしゃれでしょ!」
お日さまがまぶしい昼さがり。
ファニーは、ビーチでピクニックをしようと、ぼうけんのプリンセス、ティーをさそいました。バスケットを持って、ふたりでビーチにむかいます。
バスケットには、ファニー手づくりのかわいい貝の形をした色とりどりのケーキがたくさん入っています。
ファニーがピクニックの用意をしているあいだ、ティーはビーチを歩きました。
テーブルにケーキがならんだころ、ティーがもどって来ました。そして、あつめた貝がらをファニーに見せようとしたとき・・・。
あら。たいへん!
ティーは手をすべらせて、貝がらをテーブルの上におとしてしまいました。ファニーのケーキと貝がらがまじってしまって、見わけられなくなってしまったのです。
でもスイーツのプリンセス、ファニーはあわてたりしません。
「何とかなるわよ!」と言って、すっかりおちこんでいるティーをなぐさめました。そして「ここで待ってて!」と言うと、すぐにお城にもどり、もうひとつのバスケットを持って来ました。
「これなら、貝がらとまじってしまってもわかるでしょ?」
バスケットに入っていたのは、ヒトデの形のクッキー。ティーもすっかり笑顔になって、ふたりなかよく、おいしい「おやつタイム」となりました。
ティーは、朝からごきげんです。青空が広がって、すばらしいお天気。ぼうけんにはぴったりの日です。
ハニーをさそって、さあ出発!
しばらく行くと、大きなたきが見えてきました。ながめがいいので、ふたりはねころんで少し休むことにしました。
すると、とつ然、たきの上にきれいな虹があらわれたのです。
「見て! ハニー」
ティーは、とびおきました。
「虹のま下には、たからものがあるそうよ。さがしにいかなきゃ!」
ハニーは「ただの言い伝えじゃないの?」と気がすすみません。でも、ティーは
「本当かどうかはどっちでもいいの。行ってみるだけでも楽しいはずよ」
とあきらめません。
とにかく、ふたりは虹をめざして歩くことにしました。やがて目的の場所に着きましたが、何も見あたりません。
「ほら、やっぱり何もないでしょ?」
ハニーが言うと、ティーが「ちょっと待って!」と地面をほりはじめました。
すると、土の中から小さな木の箱が出てきたのです。ふたりが、ワクワクして箱をあけてみると、中には紙が入っていて、こんな言葉が書かれていました。
『親友こそ、あなたのたからもの』
ティーとハニーは顔を見合わせて大笑い。
「本当にその通りね!」
ある日ハニーは、おもしろいことをひらめきました。マジキ島を走る汽車にプレゼントをたくさんのせて、とちゅうで出会ったみんなに配るのです。
そこで、アートのプリンセス、ビアンカにお手つだいをたのみました。リボンをむすぶのはビアンカにまかせるのが一番です。
「出発進行!」
ハニーのかけ声で、ふたりのプリンセスをのせた汽車が走り出しました。お友だちのプリンセスを見つけるたびに、ふたりは汽車のなかからハンカチをふり、汽車を止めてプレゼントをわたすのです。
汽車は走り続けます。あちらこちらでお友だちに出会うことができました。そして、大好きなみんながよろこぶ顔を見ると、ふたりはしあわせな気分になるのです。
やがて終点の駅につきました。ハニーは、最後にひとつだけ、プレゼントの箱をのこしていました。そう、これをうけとるのはビアンカです。
「リボンがうまくむすべなかったんだけど・・・。今日はお手つだいしてくれてありがとう!」
ビアンカはうれしくて、ハニーをぎゅっとだきしめました。
箱のなかには、きっとビアンカが大喜びするような、すてきなプレゼントがはいっていたのでしょうね。
ビアンカは、これからとりかかる作品にワクワクしています。えがくのは、プリンセスたちのお城。イーゼル、パレット、絵ふでと絵の具を持って、お城がきれいに見えるところまでやって来ました。
「お城の絵がパーティールームにかざってあったら、どんなにすてきかしら!」
むちゅうで絵をかいていると、いつのまにか、絵の具が足りなくなってしまいました。
「何てこと!このままだと絵がかけなくなっちゃう。もうすぐ日もくれてしまうし」
さあ、どうしましょう?ビアンカは、夕方までにお城に絵を持って帰ると約束していたのです。
すると親友のサブリナがやってきました。
「どうしたの?」
ビアンカのこまったようすを見てたずねました。ビアンカが「絵の具が足りないの」と答えたとき、サブリナが色とりどりのお花をたばねて持っていることに気がつきました。
「これで、かいけつよ!」と、ビアンカは目をかがやかせます。
「ありがとう、サブリナ!あなたのおかげで絵がしあげられそうよ」
ビアンカは、サブリナの花たばから花びらをひとつずつとって絵にはりつけていきます。そうして、この絵がどうなったかというと・・・?
プリンセスたちのお城はたくさんのきれいな花びらでいろどられ、ほんとうにすてきな絵になりました。ビアンカも大満足です。サブリナはにこやかに言いました。
「あなたは、すばらしい画家ね!」
サブリナは、お花がなかなか育たなくて、なやんでいます。いつものように、お水をあげて、話しかけて、たいせつにしているのに・・・。
こんなことは初めてです。
そこで親友のアイラに相談することにしました。
「毎日お世話をしているし、ポエムを作ってきかせてもいるのに」とサブリナはこまっています。
すると「もしかしたら、ちょっとたいくつなのかもね」とアイラ。サブリナは「お花がたいくつすることなんてあるの?」とびっくりしています。
「だってお花はとても気分屋でしょ?たまには変わったことをするのも必要よ」
アイラの言うとおりかもしれない。サブリナは、さっそくあることにチャレンジしてみることにしました。
さて、どんなアイデアなのでしょう。サブリナはアイラにこう言いました。
「おとぎ話を作ってくれる?それを話してきかせるの!」
なんだか、おもしろくなりそうですね。
次の日 、アイラのおとぎ話ができあがりました。サブリナがそのお話をきかせると、ふしぎなことに、お花たちはみるみる元気になるではありませんか。
「すごいわアイラ。あなたの言う通りね!」
サブリナもおどろいています。アイラは、サブリナのお花たちのために、毎週新しいお話を作る約束をしてくれました。
今日はとってもいい天気!わたあめみたいな白い雲が空にうかんでいます。こんなステキな日には、ちょっとしたぼうけんがしたくなるよね。
そこでアイラは、気球にのって空の旅に出かけることにしました。
「いっしょに行かない?」
ダンスのプリンセス、シビルをさそうと「もちろん!」と大よろこびです。
ふたりは空からのながめを楽しみながら、どの雲が何に見えるか当てっこゲームをはじめました。
アイラが「あの雲はうさぎ!」とゆびさすと、シビルは 「ううん、あれはゾウよ!」と言いかえします。ふたりともゲームにすっかり夢中になって、そうしているうちにアイラは「雲の動物のお話」を作ることを思いついたのです。
「あの雲は子ネコ!毛糸玉をおいかけていて後から馬が走ってくるのに気がつかないのよ!」
アイラが作るおもしろいお話を聞きながら、シビルは雲をさがします。
「あれは小さなおサルさん!木のえだで休んでる」。いろんな動物がつぎからつぎへと思いうかんで、アイラのお話は止まりません。
やがてアイラとシビルは地上におりてきました。楽しい空のさんぽができて、ふたりとも大満足。すると、ほかのプリンセスたちがやってきて「どこに行ってたの?」と聞きます。
ふたりは顔を見合わせ笑いながらこう答えました。
「動物園に行ってきたのよ!」
シビルは、お気に入りの曲を口笛でふきながら歩いています。すると、ちょうちょが、楽しそうに花から花へと飛びまわっているのを見つけました。
つま先立ちをしたり、ジャンプしたりしながらちょうちょを追いかけていると、なんだかおどっているような気分です。しばらく行くと、マリッサが木の下で本を読んでいました。
「新しいダンスを考えたの?」
マリッサがたずねると「ちがうの。ただ、ちょうちょを追いかけていただけよ」とシビルは答えます。
「もったいないわね!すばらしいダンスだったのに」
マリッサは残念そうに言いました。
「そう? じゃあ、いっしょにおどってみる?」
シビルはそう言うと、マリッサの手をとってジャンプしました。
「わたしにはむりよ!」
マリッサは笑いますが、シビルはあきらめません。
「わたしの動きを、まねすればいいのよ」
ふたりは、ちょうちょにかこまれて、元気いっぱいダンスをしました。マリッサは、もうへとへとです。
「ダンスがこんなにつかれるとは思わなかった」
シビルもあせびっしょり。
「あつくてたまらないわ」とつぶやいたとたん、ちょうちょが集まって、羽をパタパタと動かし始めます。かろやかな風がふいてきて、とてもいい気持ちです。
「ありがとう! ちょうちょさんたち!」