1939年の創設以来、マーベルの歴史は間もなく80年を迎える。
アメリカの社会とともに歩んだ激動の歴史を振り返ってみよう。

1939年 タイムリー・コミックス誕生 1930年代半ばにコミックブックが誕生。その人気の高まりに合わせて、マーティン・グッドマンが創設したタイムリーコミックスが、マーベルの前身だ。ちなみに、グッドマンはスタン・リーの叔父にあたる人物。 1939年9月、第二次世界大戦勃発。戦線を離れたアメリカでは、参戦への慎重論も根強かった。 第二次大戦の終結とともにはじまった冷戦の時代。その恐怖は、赤狩りなどの悲劇を呼ぶ結果となった。 冷戦が続くなか、アメリカは経済的繁栄を迎えていたが、人種問題などの社会問題が表面化しつつあった。 1951年 タイムリーからアトラスへ この年、タイムリーはアトラスコミックスに名称を変更。ちなみにこのころは、ヒーロー人気は下火で、西部劇や戦記物、ホラーなどが人気のジャンルだった。その後のアトラスは、巨大怪獣が暴れ回るSF物で人気を博した。 1961年 マーベルコミック誕生!『ファンタスティック・フォー』#1(11/1961) ヒーロー人気の復活に合わせ、ファンタスティック・フォーがデビュー。同時に、社名もマーベルに変更。 1961年1月。当時、43歳のジョン・F・ケネディが大統領に就任。新時代への希望が膨らんだが……。 1962年 スパイダーマン登場!『アメイジング・ファンタジー』#15(8/1962) 当初、期待されていなかったスパイダーマンが異例の大ヒット。またたく間にマーベルのトップに躍り出る。 1963年11月。ダラス遊説中のケネディ大統領が凶弾に倒れ、アメリカは混沌の時代を迎える。 1964年 キャプテン・アメリカ復活!『アベンジャーズ』#4(3/1964) かつての人気ヒーローが久々に復活。精神的支柱ともいうべき彼の帰還で、マーベルはさらに勢いづく! 1965年、ベトナム戦争が本格化し、アメリカからも数十万の若者が送り込まれることに。 1973年3月。アメリカ軍がベトナムから撤退。この戦争は、アメリカ国内にも大きな傷を残した。 1984年 マーベルヒーロー集結!『シークレット・ウォーズ』#1(5/1984) 人気ヒーローが一堂に会する、初のクロスオーバー大作。以後、クロスオーバーが新たなトレンドに。 国家の威信の再興を目指すレーガン大統領は、ソビエトへの敵視を深め、核戦争の危機さえ叫ばれる事態に。 改革をかかげるゴルバチョフ書記長の登場でアメリカとソビエトが歩み寄り、冷戦体制は終結する。 1991年 空前のX-メンブーム!『X - メン』#1(10/1991) 人気アーティスト、ジム・リーが手がけた新シリーズは810万部を売る大ヒット。ギネス世界記録も獲得した。 1991年12月。ソビエト連邦崩壊。唯一の超大国となったアメリカは、世界の警察と呼ばれることに。 90年代に入ると、インターネットが本格化。ITバブルの時代を迎え、アメリカは空前の好景気に沸いた。 1990年の湾岸戦争以降、アメリカは中近東への介入を強めたものの、反米意識を強める結果にも。 2001年9月。反米主義者による同時多発テロが勃発。その甚大な被害は、アメリカを大きく揺さぶった。 テロとの戦いは2003年のイラク戦争などに発展。世界におけるアメリカの地位にも影響を及ぼした。 アメリカの影響力の低下とともに世界経済は多極化の方向へと進み、アメリカ内も貧富の二極化が進んだ。 2005年 ヒーロー再生のとききたる!『ニューアベンジャーズ』#1(1/2005) 新生アベンジャーズ誕生を機に、伝統的なヒーローの人気が再燃。後の映画化へとつながっていくことになる。 2009年 ディズニー傘下へ『スター・ウォーズ』#1(1/2015) ディズニーの一員となったマーベルは、同じくディズニー傘下の「スター・ウォーズ」のコミック化も開始。 2015年 その先のさらなる未来へ『シークレット・ウォーズ』#1(5/2015) それまでの総決算となる超大作を発表したマーベルは、映像分野との両輪で、さらなる高みを目指している。 2017年、激しい論争の末にトランプ大統領が誕生。今後の舵取りに世界中の目が注がれている。 映画、テレビ、アニメ作品etc. 映像で活躍するマーベルヒーロー 1966年のアニメ『マーベルスーパーヒーローズ』にはじまるマーベルの映像作品。早くから映像分野への進出を考えていたマーベルは、80年代にアニメ製作を開始。その事業は、後のマーベルスタジオへと発展する。今や、自社での映画製作が可能となったマーベルは、マーベル・シネマティック・ユニバース作品で大ヒットを連発。今や映画界に確固たる地位を築くまでになった。