「はやぶさ2」プロジェクトの情熱に触れる
関係者特別インタビュー!!

応援団体編3

リーマンサット・
プロジェクト

「はやぶさ」に思いを馳せた“リーマン”たちがつくるDIYの人工衛星!

超小型人工衛星を「自前でつくってしまおう!」と、サラリーマンによって立ち上げられた、民間の宇宙開発団体リーマンサット・プロジェクト。クラウドファンディングでの資金調達に成功し、今まさに人工衛星の開発真っ最中の彼らに、宇宙への思いを聞いた。

——まず、リーマンサット・プロジェクトを立ち上げた経緯と活動の目的を教えていただけますか?

大谷さん(以下、大谷) 僕を含めた宇宙好きの3人で、あるとき新橋の居酒屋で飲みながら「どんな宇宙開発がしたい?」という話になったんです。そのときちょうど、東京大学の先生が世界で初めて10㎝立方の超小型人工衛星(※1)を打ち上げたという話が出て、「自分たちにもできるのでは?」という話から「人工衛星をつくろう!」となりました。でも、宇宙好きな人だけでやっても、客観的な視点で見る人がいなくなってしまうからと、宇宙にまったく興味のなかった2人も巻きこみました。それがリーマンサット・プロジェクトのスタートです。2014年5月のことでした。
最初の活動は、同年11月のメーカーフェアでした。DIYの展示発表会ですが、このときは立ち上げたばかりですから、展示するものは何もありません。そこで、「一緒に人工衛星を開発しませんか」というメンバー募集のチラシを5人で配ったんです。思いのほか反響が大きく、翌年2015年の1月に開催したキックオフミーティングにはたくさんの方に集まっていただけました。今では、クラウドファンディングといった活動や、色々なメディアさんに取り上げていただいたこと、広報が頑張ってくれた甲斐もあり、300人ほどが在籍しています。

菅田さん(以下、菅田) アクティブに活動しているのは70〜80人くらいですね。それでも人手は足りていないのですが、メンバーの多くはサラリーマンですから、仕事の状況や家庭の事情で一時的に参加できないメンバーもいるんです。
ちなみに、先ほど大谷から出た「宇宙に興味がない2人」のうちの1人は私です(笑)。私の場合は、極限状態や未体験の場所に行ったり、誰も挑戦したことがないことにチャレンジしたいという人たちを見るのが好きで参加したんです。

細田さん(以下、細田) 人工衛星開発以外の活動目的として、サードプレイスの構築もめざしています。仕事の合間に久しぶりに参加してくれるメンバーもいますし、来るもの拒まず・出戻り歓迎なんです。居心地の良さを重視しているので、何か特別なことをやらなきゃいけないと、義務のようには思ってほしくないですね。いっそ宇宙に興味がなくても、私たちの活動が気になる!という気持ちで来ていただければ十分です。
他人に迷惑をかけない、といった基本的なルールはありますが、利害関係なく、家や学校、職場とも違う、しがらみや上下関係のない居場所にしたいと思っています。学生も参加していて、最近はスカイプで就職活動の悩み相談を受けたりもしました(笑)。

——どのように団体を運営されているんですか?

大谷 大きく技術部と広報部に分けていて、技術部は人工衛星をつくる、広報部はいろんな方に知っていただく、と活動内容は明確です。この2つをベースにしていますが、ほかに人事・法務・経理などもあります。とはいっても、配属をこちらで指示したりはせず、担当は自己申告制です。本業と違うことをしたいという方もいるので、本業で何をしているかや、どういったスキルを持っているのかも、管理はしていません。
基本的に各部でのノルマはありませんが、人工衛星は納期がありますから、そういう意味では技術部が一番スケジュールに縛られますね。そこはみんなで助け合いながらやっています。

細田 広報は、もちろん活動をいかにして広めるかがミッションで、技術部でやっていることを確認しつつ、興味を持ってもらえる情報を的確なタイミングで出せるようにしています。資金調達もしなければならないので、イベントなどを提案したときは、集客や資金繰りについても考えます。
また、進捗を各部で管理して、月1回の定例会で確認しています。定例会では、今考えていることや、今後リーマンサットでやりたいことなどのプレゼンテーション会もしていて、その話から新規プロジェクトが立ち上がることもあるので、リーマンサットとしてとても大事にしています。

——開発中の人工衛星について教えていただけますか?

嶋村さん(以下、嶋村) 現在開発中の人工衛星は、零号機(RSP-00)と初号機(RSP-01)の2機があります。零号機は、開発を始めてから1年半くらいのもので、今年の夏に国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出する予定になっています。これに関してはとにかく、宇宙で実際に動くものかどうかという不安がありますね。
“自撮り”機能を搭載した初号機は、2019年の打ち上げを目標に半年くらい前から開発を始めました。宇宙にいる人工衛星とやりとりできるデータ量には限りがありますし、画像といっしょに人工衛星自体のステータスデータも受信しなければならないので、自撮りが可能かどうかはわかりませんが、楽しみです。

初号機の自撮りカメラ。イギリスのメーカーが開発している市販のカメラモジュールが積まれている。

——開発はどこでされているんですか?

大谷 リーマンサット・プロジェクトでの予算管理などをするために設立した、一般社団法人リーマンサットスペーシズの理事長にもなっていただいている宮本さんが経営されてる町工場です。そこに技術部が集まって開発を進めています。

菅田 宮本さんとは、リーマンサットの活動を載せていたFacebook上で知り合いました。宇宙の仕事をやりたい!というのが彼の長年の夢だったそうで、私たちの活動にもすぐ参加してくれたんです。

手前が2018年夏に打ち上げ予定の零号機のモックアップ。奥の水色のメタリックカラーの筺体が“自撮り”機能をもつ初号機のモックアップ。

——やはり技術部には専門的なお仕事をされてる方が多いんでしょうか?

嶋村 技術部はツリー構造というほどではないですが、電気系、通信系、それらのプログラムや構造設計といった感じで各系統の開発に分かれています。本業でも専門という方はもちろんいますが、実際にやってみると本業と違うことがしたいと新たな一面に目覚めて、広報へ移った方もいます。

大谷 専門職のメンバーが、「開発中のみんなの楽しい雰囲気が壊れないように、後ろから見守ってます」と話してくれたことがあります。本来なら口を出したいところだと思いますが、そう言ってくれて嬉しいですね。

——「はやぶさ」や「はやぶさ2」から受けた影響や思いなどはありますか?

大谷 宇宙ファンである僕個人の意見としては、「はやぶさ」はちょっと特別ですね。探査機や人工衛星というより、宇宙というコンテンツの楽しみ方を広げてくれた存在です。ただ、たくさんのドラマや「はやぶさ」が撮ってくれた画像はありますが、「はやぶさ」自身が宇宙を旅していた状況は、誰も目にしていないんですよね。じつは初号機に自撮りカメラを搭載したのは、主人公である人工衛星自身の姿を見たいというのがひとつの理由です。

菅田 「はやぶさ2」には、ミッションの成功を期待しています。ですが、民間の団体にも宇宙を調査する余地を残しておいてほしいなぁと思います。宇宙を開拓しつくしてしまったら、私たちの楽しみがなくなりますからね。そうならないように私たちも頑張らないといけないですが(笑)。

——零号機・初号機の打ち上げ後、さらに先の展望などはありますか?

大谷 リーマンサットが活動していくなかでもっとも重視しているのは、継続性です。今後めざしたいことは、技術や人材をいかに継承していくかですね。10年先も考えたときに、人工衛星を数十機打ち上げられるプロジェクトにできると信じています。そのとき、団体を率いているのが、今学生であるメンバーだったらうれしいですし、なんなら自分の子どもにも入ってほしいです。そうやって世代を超えられたらいいですね。そういう意味では、零号機と初号機は、僕たちの最初の宇宙開発の旗印、狼煙のようなものだと思っています。

嶋村 そうですね、継続的に1~2年に1回人工衛星を打ち上げて、それがうまくできるようになったら別の人工衛星を打ち上げる。それが現在の展望でしょうか。メンバーの中には「はやぶさ」のような探査機をつくりたいという人もいるので、そういうことにもチャレンジしていきたいですね。


リーマンサット・プロジェクトさんの情報はコチラ
http://www.rymansat.com

用語解説
※ 1
10㎝立方の超小型人工衛星:東京大学 航空宇宙工学専攻 中須賀真一教授の研究室が開発したもの。2003年に超小型衛星1号機「XI-IV」、2005年に2号機「XI-V」を打ち上げた。
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