思い出はLPとともに 中平穂積(ジャズ喫茶&バー「DUG」オーナー、写真家)

CD時代と共にLPレコードはレコードショップから姿を消しはじめ、いまやCD一色の時代だ。そんな折、歴史的名盤LPコレクションシリーズの発売は、まさに画期的な企画で、意表を突かれた感じだ。特に今回のLPコレクションシリーズは、どのLPもジャズ史に輝く名盤で、古いジャズファンもビギナーのファンも、LP の持っている存在感や手ざわりを味わって欲しい。CDでは到底味わえない満足感がある。1954年、高3の頃、小遣いを貯めて、映画「グレンミラー物語」のサウンドトラック10インチ盤が私のLP 第1枚目だ。机の上に立てて一日中眺めていたのを覚えている。1955年、上京して最初に買ったのはセロニアス・モンクのソロアルバム、フランスヴォーグの10インチ盤だ。2枚とも盤が白っぽくなるくらい聴いたが、いまだに音はしっかりしている。50~60年代はLP1枚の価格が初任給の1/3くらいもしたので、ジャズ喫茶で聴くしかなかった。

いまや本格的にLPを聴かせる店も少なくなった。出先でジャズ喫茶の前を通ると、つい足が向いてしまう。LP版のサウンドはN.Y.のジャズクラブの音を思い出す。

PROFILE

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日本大学芸術学部写真学科卒業後、25歳で新宿にジャズ喫茶「DIG」をオープン、その後も「DUG」「new DUG」とジャズ喫茶やジャズバーの経営に携わり、約半世紀に渡り、日本のジャズシーンを根底で支え続けている。日本におけるジャズ写真家の第一人者でもある。